「麻布狸穴町」(あざぶまみあなちょう)の「狸穴」という名称には、いくつかの由来が考えられています。
「猯(まみ)」という動物の穴
最も有力な説のひとつは、昔この地域に「猯」(まみ、現代でいうアナグマ)が住んでおり、その動物に由来して「まみあな」と名付けられたというものです。後に「狸」と混同され、現在の「狸穴」という表記が定着したとされています【6】【8】。
雌狸が棲む洞穴
もう一つの説は、この地域に雌狸が住む大きな洞穴があり、それが地名の由来になったという話です。特に、寛永21年(1644年)に将軍・徳川家光がその洞穴を視察したという記録も残っています【6】【9】。
魔物「魔魅(まみ)」が住んでいた場所
他にも、かつてこの地が木立の繁る暗い谷間で、「魔魅」という人を惑わすような魔物が住んでいたから名付けられたという説や、鉱石を採るための横穴「間府(まぶ)」があったことに由来する説もあります【7】【9】。
これらの説は、江戸時代から続く歴史や地域の特徴に基づいています。麻布狸穴町は現在でも、こうした歴史的な背景を持つ場所として知られています。